あまどころ (甘野老)
学名 |
Polygonatum odoratum var. pluriflorum (P.odoratum var.japonicum, P.quelpaertense,
P.planifilum, P.officinale) |
日本名 |
アマドコロ |
科名(日本名) |
キジカクシ科 |
日本語別名 |
イズイ |
漢名 |
玉竹(ギョクチク,yùzhú) |
科名(漢名) |
天門冬(テンモンドウ,tiānméndōng)科 |
漢語別名 |
萎蕤・葳蕤(イズイ,wēiruí)、女萎(ジョイ,nǚwēi)、尾參(ビシン,weishen)、鈴鐺菜(レイトウサイ,lingdangcai)、山玉竹(サンギョクチク,shanyuzhu)、香黃精(コウコウセイ,xianghuangjing)、小筆管菜、甜草根、 |
英名 |
Fragrant Solomon's seal |
2006/04/13 さいたま市 田島が原 |
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2007/05/10 薬用植物園 |
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2024/06/19 長野県霧ヶ峰八島ケ原 |
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2006/06/22 薬用植物園 |
2023/07/21 笹離宮 |
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辨 |
変種に、オオアマドコロ var. maximowizcii がある。 |
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アマドコロ属(ナルコユリ属) Polygonatum(黃精 huángjīng 屬)には、北半球に約58種がある。
ヒナヨウラク P. acuminatifolium(P.quinquefolium;五葉黃精)
ヒメナルコユリ P. amabile(P.lasianthum f.amabile)
ナガバアマドコロ P. arisanense(阿里黃精)
タカオワニグチソウ P. × azegamii
P. cathcartii (棒絲黃精・對葉黃精)
セイスイアマドコロ P. chingshuishanianum(清水山黃精)
P. cirrhifolium (P. souliei;卷葉黃精・卷鬚黃精・鈎葉黃精・裸花黃精)
『雲南の植物Ⅰ』258 『中国本草図録』Ⅶ/3420 『週刊朝日百科 植物の世界』10-115
ウスギワニグチソウ P. cryptanthum
P. curvistylum(垂葉黃精) 『雲南の植物』29・『中国本草図録』Ⅷ/3942
P. cyrtonema (多花黃精・囊絲黃精・白及黃精) 地下茎を食用・薬用『中国本草図録』Ⅰ/0421
『全国中草葯匯編』上775-777
コウライワニグチソウ P. × desoulayi(var.yezoense, var.mediobracteatum,
P.mediobracteatum, P.miserum;長苞黃精)
タカオワニグチソウ var. azegamii としてきたものは、雑種か
ドウモンワニグチソウ P. × domonense
ナルコユリ P. falcatum(P.tenuiflorum, P.kiotense,
P.falcatum var.tenuiflorum;鐮葉黃精)
ヒュウガナルコユリ var. hyugaense
マルバオウセイ var. trichosanthum(P.trichosanthum)
ホソバナルコユリ var. tenuiflorum
P. filipes(長梗黃精)『中薬志Ⅰ』pp.465-474
P. franchetii(距葯黃精)
P. gracile(細根莖黃精)
P. hirtellum(粗毛黃精)
P. hookeri(獨花黃精)
ヒメイズイ P. humile (小玉竹)
イブキワニグチソウ P. ibukiense
ミドリヨウラク P. inflatum (毛筒玉竹)
ワニグチソウ P. involucratum (二苞黃精・小玉竹・二苞玉竹)
ウンナンナルコユリ P. kingianum(滇黃精・西南黃精・德保黃精・金氏黃精・
・節節高・仙人飯) 『雲南の植物Ⅱ』257・『中国本草図録』Ⅴ/2419
『全国中草葯匯編』上775-777
ハガクレナルコユリ P. kiotense
ミヤマナルコユリ P. lasianthum
チョウセンナルコユリ var. coreanum
オオナルコユリ P. macranthum
トウアマドコロ P. macropodum (熱河黃精・大玉竹・長梗玉竹)
『中薬志Ⅰ』pp.465-474、『中国本草図録』Ⅳ/1936
P. megaphyllum(大苞黃精)
コワニグチソウ P. miserum
P. multiflorum(九龍環・多花黃精)『中薬志Ⅰ』pp.465-474
var. longifolium(長葉黃精・黃精・薑形黃精)『中薬志Ⅰ』pp.465-474
P. nodosum(節根黃精)
アマドコロ(広義) P. odoratum(P.officinale;
玉竹・萎蕤・尾參・玉參・鈴鐺菜・小筆管菜・甜草根)
『中国本草図録』Ⅰ0422・『中国雑草原色図鑑』353 『中薬志Ⅰ』pp.187-190
オオアマドコロ var. maximowizcii(P.maximowiczii, P.robustum)
セイヨウアマドコロ var. odoratum
アマドコロ(ジョウシュウアマドコロ) var. pluriflorum(P.odoratum var.japonicum,
P.quelpaertense, P.planifilum)
フイリアマドコロ f. variegatum
ヤマアマドコロ var. thunbergii(P.thunbergii)
P. oppositifolium(對葉黃精)
P. prattii(康定玉竹) 『雲南の植物Ⅰ』258・『中国本草図録』Ⅶ/3421
P. punctatum (P.marmoratum;點花黃精・樹刁・斑莖黃精)
『中国本草図録』Ⅶ/3420・『週刊朝日百科 植物の世界』10-115
P. roseum (新疆黃精・紫花黃精)
カギクルマバナルコユリ P. sibiricum(黃精・鷄頭黃精・鷄頭參・
黃鷄菜・筆管菜)『中薬志Ⅰ』pp.465-474 『全国中草葯匯編』上775-777
『中国本草図録』Ⅰ/0423 『本草圖譜』黃精(ワウセイ)
ウスバアマドコロ P. simizui
クルマバナルコユリ P. stenophyllum(狹葉黃精) 『中国本草図録』Ⅴ/2420
タマナルコユリ P. × tamaense
P. tessellatum(格脈黃精・滇竹根七) 『中国本草図録』Ⅷ/3943
P. uncinatum(小黃精)
カギクルマバナルコユリ P.verticillatum(P.erythrocarpum, P.kansuense;
輪葉黃精・紅果黃精・羊角參)『全国中草葯匯編』下/217
P. zanlanscianense(湖北黃精) 『中国本草図録』Ⅶ/3423
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キジカクシ科(クサスギカズラ科) Asparagaceae(天門冬 tiānméndōng 科)については、キジカクシ科を見よ。 |
訓 |
和名アマドコロは、根がところ(オニドコロ)に似て、甘いことから。
イズイは、漢名葳蕤の音。 |
漢名葳蕤(イズイ,wēiruí)は、黃公紹『古今韻會』(李時珍『本草綱目』引)に、「葳蕤、草木の葉垂るるの貌なり。此の草、根長くして鬚多く、冠纓下垂の緌(ズイ,ruí)の如くして、威儀有り。故に以て之を名づく。〈凡そ羽蓋旌旗の纓緌、皆葳蕤を象る〉とは、是なり」と。 |
『本草和名』女葳に、「和名恵美久佐、一名阿末尓」と。
『倭名類聚抄』女葳蕤に、「和名恵美久佐、一云安麻奈」と。
『大和本草』に、「黃精{アマドコロ} 黃精ト葳蕤ト相似タリ、黃精ハ莖靑シ、葳蕤ハ莖紫ナリ、・・・葳蕤ノ和名、京都ニテカラスユリト稱ス、・・・黃精
根ハ萆薢(オニドコロ)ニ似タル故アマトコロト云」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』(1806)に、「ヱミクサ和名鈔 アマナ同上 アマドコロ カラスユリ ジイガヒザ ハネウマ阿州」と。
岩崎灌園『本草圖譜』(1828)に、「葳蕤(イズイ) ゑみぐさ」と。 |
説 |
広くユーラシアの温帯に分布。 |
誌 |
中国では、アマドコロ及び幾つかの同属植物の根茎を玉竹(ギョクチク,yùzhú)[別名は葳蕤 (イズイ,wēiruí)]と呼び、薬用にする(〇印は正品)。 『全國中草藥匯編 上』pp.232-233
ワニグチソウ P. involucratum (小玉竹・二苞玉竹)
トウアマドコロ P. macropodum (大玉竹・長梗玉竹・熱河黃精)
〇アマドコロ P. odoratum var. pluriflorum(玉竹)
P. roseum (紫花黃精・新疆黃精)
日本では、アマドコロの根茎を乾燥したものを 玉竹・萎蕤と呼び、薬用にする。 |
また、カギクルマバナルコユリ Polygonatum sibiricum(黃精)など幾つかの同属植物の根茎を黃精(コウセイ,huángjīng)[別名は葳蕤 (イズイ,wēiruí)]と呼び、薬用にする(〇印は正品)。 『中薬志Ⅰ』pp.465-474 『全國中草藥匯編 上』pp.775-777
P. cathcartii(棒絲黃精・對葉黃精)
P. cyrrhifolium(P. souliei;卷葉黃精・裸花黃精)
〇P. cyrtonema(多花黃精・嚢絲黃精)
〇ウンナンナルコユリ P. kingianum(滇黃精・西南黃精)
P. punctatum (P.marmoratum;點花黃精・斑莖黃精)
P. roseum(新疆黃精・紫花黃精)
〇カギクルマバナルコユリ P. sibiricum(黃精)
日本では、生薬オウセイは ウンナンナルコユリ Polygonatum kingianum、 カギクルマバナルコユリ Polygonatum
sibiricum、Polygonatum cyrtonema 又はナルコユリ Polygonatum falcatum の根茎を、通例、蒸したものである(第十八改正日本薬局方)。 |
一説に、『万葉集』のにこぐさは、アマドコロであるとする(他説には、ハコネシダ)。
葦垣の中のにこ(似児)草にこやかに
我と咲(え)まして人に知らゆな (11/2762,読人知らず)
あしがり(足柄)のはこね(箱根)のね(嶺)ろのにこぐさの
はな(花)つづま(妻)なれやひも(紐)と(解)かずね(寝)む (14/3370,読人知らず)
所射鹿(いゆしし)をつなぐ河辺の和草(にこぐさ)の身も若かへにさ宿(ね)し児らはも
(16/3874,読人知らず)
秋風になびくかはび(河辺)のにこぐさの
にこよかにしもおも(思)ほゆるかも (20/4309,大伴家持)
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『花壇地錦抄』(1695)巻四・五「草花 春之部」に、「黄精(わうせい) 中末。葉ハ笹のごとく、花白ク青シ。根ハ薬種の黄精、花ハ立花に露草といふ。俗ニあまところと云」と。 |
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